シチュー鍋の底

雑記

※ネタバレには無配慮。※センシティブな発言有り。↑新 ↓古

2024/02/10

誰ですか。ほうかごがかりはヌルいから甲田作品初心者向けといった人は。
むしろ随一でメルヘンしているし救いがない話なのでは!?

ほうかごがかり2巻感想ネタバレ(クリックで開閉)

5話
イルマちゃん編
啓君の身代わりは上手く行かないだろうなあとは思っていましたけど……
Missing合わせ鏡の物語既読者ならムラサキカガミの正体は察しておくべきでしたね。
目は鏡!! はい知ってた!!!
そして本当のムラサキカガミに映ったモノ……
イルマちゃんは『まあやちゃん』の幻想を見ていたけど、結局本当の真絢ちゃんの絶望は理解しないままだったというの、この辺りもMissing合わせ鏡の範子と八純先輩の関係を彷彿とさせてくるのが、こう……死因は憧れの相手と同じだけど同じところに辿り着けたかは怪しいなと思ってしまう。
イルマちゃんは最後まで理想のヒロインの『まあやちゃん』だけ見ていたんだな……
空っぽの真絢ちゃんと叶わない夢でも夢を持っていたイルマちゃん……対比として美しく、どちらもこの先はないのがアレ。

6話
菊ちゃん編
明かされる菊ちゃんの担当怪談。テケテケはメジャーな怪談だと思うけど、サッカー部と窓の話は知らなかったな。
肖像画=上半身だけの怪異という発想がいいね。
菊ちゃんが異能持ちゆえに封じ込めに成功したばかりに観察することもできなくなるぐらい育ってしまったためいつ爆発するかわからない爆弾化していると。そりゃ覚悟せざるをえないよな……
菊ちゃんは霊感持ちキャラにしては全能感がないし普通の子なのが斬新だな。
能力以外の内面だけ見ればイルマちゃんと近い気がするんだよな。コンプレックスの塊で、特別な人と接点を持って舞い上がっているところとか。
霊能力のアドバイスをしていたおばさんや名付け親のおばあさんも故人なのが気になるんだよな。上半身だけの肖像画=遺影写真? テケテケに関係してそうな気がする。
啓惺菊ちゃんの動画制作キャッキャウフフすら最大限曇らせギミックに使ってきそうで怖い。動画は完成できないし何も為せないまま人生が終わるのはありそうで……

7話
留希君編
二森啓、言動の端々に絵描きの病が出てきたな。もう誰かを助けたいというよりも明らかに自分の望みで怪談を描きたがっている。
そういう言動するから今にも羽化しそうな怪物の蛹を見る目になってしまうんだよ!
二森啓、死んでも望み叶うし、ある意味無敵の人だよな……

イルマちゃん編で留希君いいやつだな……とても甲田作品のいじめられっ子とは思えない……と思っていたら、やっぱり爆弾持ちだったじゃないか!!評価を返して!!!(テノヒラクルックル)
昼の学校にも家にも味方のいない留希君にとってほうかごがかりは僕だけのマイフレンドとの逢瀬タイムだったと。存在感が薄いなと思っていたのも、このことがバレないよう『潜伏』していたためだとわかるとヒエッとなる。
留希君が男嫌いの母親の意向で女の格好させられているの明らかに虐待なのに『多様性』が尊ばれる現代ではまともな人間は突っ込みづらいのも先生も家庭の事情には深入りできなかったの今どきっぽい嫌なリアリティがあるな……
しかし古来よりいじめられっ子が超常的存在と仲良くなっていじめっ子への復讐を決めた場合の物語パターンは破滅だって決まってるわけで(なろうだと破滅しなさそうだが甲田作品はメルヘンなので)
留希君の武器がマイナスドライバーの時点でイヤな予感がしていたんですが、ある意味順当な使い方をしてきたな!!無名不思議は金属を嫌うって迷信では。赤マントもこちょこちょおばけも思いっきり金属武器持って襲いかかってきてるんですが!?
しかし殆どのキャラの惺君への評価が『本音を明かせるほど信用できない』なのがさあ……奇しくも『自分の大事なものをどうでもいい相手と仲良くするための取っ掛かりにする必要ないよね』といっていた惺君の発言へのカウンターになっているのが、笑えてくるよなー…
惺君も悪い子ではないんだけど、そもそも厄介な事情を抱えている子供と非常事態下で仲良くなって本音を聞き出せるほどの信頼を築けというのが無理ゲーだし、惺君みたいな正しさが基準の子は相手に寄り添うことよりも正しさを押し付けてしまうので信用されづらいんだよな。
そして正しさゆえに些事に囚われて一番のやりたいことは何もできずに死ぬ。なの無情すぎて乾いた笑いが漏れましたよ!!!
あっそこで啓君より初志とみんなを選んだのを後悔してしまうんだ。結局惺君も凡人だったんだな……ってなってしまったのが余計に残酷すぎるなと。そこは後悔してはいけない部分だったと思うんだよなあ……何も残らないじゃないか。
そもそも惺君が自己犠牲をしてでも救いたいような子は真っ当な感覚を持ってるので惺君の自己犠牲なんか欲さないし、他人の自己犠牲を欲する子は惺君の嫌う狡くて卑怯な子だから惺君の望みは叶わないようにできてるんだよね。
でも昼の学校で死んだから存在消去までは行かないかもしれないからまだマシか?
でも留希君が怪談に食われて存在消去されたせいで惺君がいじめっ子を刺した犯人扱いされる可能性があるのでは…………
3巻で死体蹴り尊厳破壊コンボが来そうで怖くなってきたな……
というかまだ死んでいない可能性もありますよね。
かかりの子が昏睡状態になって続けられなくなった場合どうなるのか気になるのでギリ死んでいない可能性に賭けるぜ!!(思考実験に使うな)
惺君の担当怪談がわからないまま退場するのも物語的にも片手落ちという感じがするし、啓君が担当を引き継ぐ展開あるかもしれない。
むしろ惺君が死んでなかったせいで惺君の担当無名不思議を沈静化しようとして啓君と菊ちゃんが身代わりになってしまい、かかりの任期が終わった後で目覚めて一人残った世界で慟哭する惺君曇らせを見たくないですか?(やめろ)
惺君は何も守れなかったどころか守りたかった相手に庇われてその子が犠牲になったおかげで無様に生き残るエンドが一番堪えると思うから……(悪魔だ)
曇らせが見たいので生きていて惺君!!(邪悪な欲望に忠実過ぎる邪悪な読者)

てっきり2巻で完結するかと思ってたんですが、この分だと3巻で完結かな?流石にこれ以上は続かんよね……?
1巻の真絢ちゃんが遺影表紙だったせいで2巻は菊ちゃんが危ないんじゃないか!?と思っていたら、蓋を開けてみると主人公とヒロイン以外脱落ってどうなるんだこれ!?
菊ちゃんも持たなさそうだし、1巻冒頭は関係ないほうかごがかりOBとかでミスリードの可能性もあるし、長編初の全滅エンドでも驚かないよこれ……
というか3巻刊行決定しました!といってくれないと安心できないので、はよ刊行予定はよ!