魔女に逆レされる武巳

 口内に詠子の血が溜まり、喉が嚥下する。
「うっ……ぶっ……ぐ……っ……!」
 己の身体の内側だけでなく、己の存在――魂まで凌辱されるに等しい行為に武巳の思考は恐怖と絶望で染まり、狂気に呑まれる――もはやまともな状態ではなかった。
 それは生命の危機と判断した本能が子孫を残そうと生殖機能を活性化させる男の身体機能の暴走だった。
「………………」
 武巳の股間の膨らみを目にして――詠子は意外なものを見つけたように目を丸くした。
「したいの?」
「……!?」
 まさか詠子にそんなことを聞かれると思わなかったため、ぶんぶんと首を横に振る武巳。
 武巳の中にあったのはいくら生命の危機に陥っても自分の身体が自分の意思を裏切ったことへの焦りと、この反応のせいでさらに何かをされてしまうのではないかという恐怖だった。仮に武巳に貞操観念がなかったとしても、この状況で馬鹿正直に詠子に相手をしてもらうことは避けただろう。
 詠子は「んー」と小首を傾げて考えるような素振りをしたあと、
「まあ『夜会(サバト)』だものねえ……主催としては面倒見てあげないと、かな?」
「……っ……」
 まさか生粋の〝魔女〟である詠子が『魔女が男達と乱交する』という俗な風説におけるサバトのように性交しようなどと思ってもいなかったので愕然とする。
「あっ……!」
 武巳の身体を拘束していた使徒にベッドの上に押しやられ、磔にされるように手足を拘束された。
「んしょ……」
 腹の上に詠子に馬乗りになられて、見下される武巳。
 女性としても小柄で、男に比べると遥かに小さい詠子だが、その存在の『圧』で圧死させられそうだった。
「よかったですねえ〝魔女〟にさらに恵みを与えて戴けるなんて」
 心底羨ましそうに、周りの使徒――赤城屋が呟く。
「んー」
 女の使徒が武巳の着衣を緩める。詠子は笑うと勃起を取り出すと緩やかに手で握り刺激を与えてくる。
「……あっ、うっ!」
 大勢の人間に局部を見られる緊張感で早くも萎えかけていた勃起が刺激でガチガチに硬くなっていく。
「そろそろいいかなあ」
 そう言うと詠子が武巳の腰の上に腰を下ろした。詠子の履いているスカートの下は見えないが、確かに触れてくる感触。
「う、あ……!」
 性器同士が触れ合う。あろうことか詠子は下着をつけていないのか触れた股間には布地の感触はなく、濡れた粘膜の感触がした。
「じゃあ入れるね」
「っ……!」
 そして物理的な刺激で硬くなった竿に手をやると、
「んしょ、と……」
 伸し掛かると同時に生暖かい粘膜に肉棹が包まれて、膣内に入ってしまう。
「くっ……あ……っ……」
 呻く。武巳にとっては初めて味わう女の膣内だが、恐怖と緊張感でその甘さをじっくり味わう余裕はない。
 〝魔女〟という異常者なれど、伝わる熱は肉を持った生物であるという証に他ならなかった。その事実がかえっておぞましさがあった。
「ああ……羨ましいです……」
 使徒の一人――養護教諭の先生がそう呟く。そして頭を屈めた。髪をひっつめた先生は地味な容貌だったが、ルージュの塗られた唇だけが赤い。その唇が結合部に寄せられる。
「ひっ……!」
 先生は垂れた詠子の愛液を舐め取るために濡れた結合部――武巳のペニスを舐めてきた。敏感な裏筋を舐められて、ぞくぞくとしたものが武巳の背筋に走った。
「ああっ……!」
 溢れ出した詠子の愛液を舐め取るために武巳の陰嚢まで舐め回してくる。びくびくと武巳が悶えて思わず動くと、その刺激できゅっと膣内がうねる。肉棹と玉への同時責め。
「んっ、もう、あなたは堪え性がないなあ……」
 詠子はそういいながらも微笑むだけで先生の行動を制止したりはしなかった。ペットの犬猫が溢れたミルクを舐めたとしても咎めようか? と、ばかりに。
「もう……くすぐったいよ」
 今度は詠子の陰核を舐める養護教諭。詠子が身を捩り、肩まで伸ばした茶色い髪が揺れる。脚が開き、スカートの中――白い下腹部が見えてしまう。

 古の迷信にて『魔女は悪魔の乳首を持っている』と言われていたことがある。
 無論それは女であるならば誰しも持つものなので言いがかりに等しい迷信だったが――
 悪魔の乳首――すなわち陰核亀頭を詠子は露わにしていた。
 覆う包皮から剥き出しになった陰核は肥大化していてかなり大きく、手指の第一関節ほどまであった。前戯もなしに難なく武巳のモノを咥え込めたことから考えても、詠子がこういうことをするのは初めてではないのだろう。一つ先輩とはいえ小柄な詠子が性交の経験があり性器を発達させているのには不釣り合いに思えたが、〝魔女〟ならば当然だという納得も行く様相でもあった。
 詠子の膣内は柔らかく潤沢な愛液で濡れていたが、小柄なだけあってその膣道はひどく狭い。それが吸い付くように武巳のモノを締め付けてくる。
「ぐっ……ぅ……」
 うねり、締め付けてくる膣内の圧迫感に武巳は歯を食いしばる。

 ――稜子を裏切ることになるのは嫌だった。

 やっと選んだ好きな女の子への想いを裏切るなど耐えられない。
 だが――男の身体は快楽に対して強いようにはできていない。己の遺伝子を残そうと雌の中に子種を排泄できる機会があれば遠慮なく種を吐き出そうとするのが雄の本能だった。
 武巳は弱い人間だ。だからといって人格と身体の反応を切り離せるほど精神が超越も成熟もできていなかった。このまま流されて排泄欲求に従えば己の選んだ――稜子を好きだという覚悟も傷つけられる――そんな風に感じてしまい、耐える以外の選択はなかった。
 歯を食いしばって頬の内側を噛んで耐える。

「気持ちよくないのかなあ。手伝ってあげて?」
 詠子がそういうと、武巳の腕を掴んでいた使徒の女生徒が二人、ベッドににじり寄る。
「ひっ――!?」
 そして武巳の着ていたパーカーの裾を捲り上げて胸を露出させると、使徒の女子は顔を寄せた。
「あっ……あぁ――!?」
 舌で乳首を舐められた。左右の両方の乳首を同時に別々の女の子に舐め上げられ、ちゅうちゅうと吸い付かれて責められる。
 この年頃の男ならまず味わうことはないだろう、左右の乳首への同時責め――
「あっ……ぐあ……っ……!」
 次に耳を舌で舐められた。唇で耳たぶを挟まれて甘噛され、ざらりとした舌がぺちゃぺちゃと耳を舐め上げる音が鼓膜を震わせた。
 そして唾液で濡れた乳首が指で刺激される。硬くなって膨れた乳首を二本の指の間に挟むようにくりくりと捏ね回してくる。
「うっ……あ……っ……! あっ……!」
 むず痒さに、身を捩る。ゾクゾクとした悪寒が背筋を走り抜けていく。
「あっ……あ……!?」
 噴火寸前のマグマのように尿道を迫り上がってくる排泄欲求に――抗えない。

「いいよ。出して?」

 武巳を見下ろしながら、詠子がにこりと微笑む。その声は子供のように無邪気ながら慈悲と無慈悲の内在する女主人めいた風格があった。
「……っ……! うっ……あっ……ぐ……うぅっ……!!」
 歯を食いしばって耐えるも、切羽詰まった射精欲求に持ちこたえられたのは数秒間だけだった。

「あ――あああぁぁ……っ……!?」

 眼の前が明滅する。脳に快楽を叩きつけられる。
 我慢に我慢を重ねた射精欲求が決壊し、思わず腰を突き出した。亀頭の先が膣の最奥の子宮口に当たる。どぴゅどぴゅと勢いよく詠子の膣内に子種を送り込んでいく。粘ついた遺伝子が送り込まれてしまう。

 ――ごめん、稜子……!

「うふふ……」

 武巳は一人、保健室に取り残された。


あとがき

旧版当時二次エロやるならここだなと思っていたシーンなんですが、ようやく書けた。というと感動作のようだ()
魔女様が非処女でパンツはいてないのは、魔女が貞操を守るのはおかしいだろうというのと、パンツをイチジクの葉の比喩とするとパンツを履いてないほうがそれっぽいと思うせいです(謎の理屈)

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